6と9で15
うとうとしていたら、いつの間に遊びから帰ってきたのか、カヤノが冷たいほほを私のほほにくっつけ、しばらくしてから、
「ああ、……お父さんのにおい……」
と言った。
この子を残して――この世をやがて私は去らねばならぬのか!永井隆『この子を残して』
第二の故郷・長崎。もともと縁もゆかりもなく、親戚も知り合いもいなかった。
それでも「故郷」と呼ぶ程になったきっかけは、この『この子を残して』を読んだことが始まりだった。
小学6年生のとき、冒頭のこの文章に衝撃を受けた。
我が家も父が体の弱い人でほんの少し似た境遇だったこともあり、読み進めるうちに深く引き込まれていった。修学旅行の予習のつもりで何気なく読んだその本は、原爆や戦争の悲惨さ、子を残して逝くということ、信仰とは何か…多くのことを心に刻んだ大切な本になった。
修学旅行で訪れた原爆資料館では、「なぜ戦争はなくならないのか?」「なぜ殺し合わなければならないのか?」と、子どもなりに考え込んだ。平和記念公園では、学校だけの小さな式典を行い「青い空は」を歌って平和を祈った。そのとき、周りにいた人たちが賛同の拍手を送ってくれたことも、強く覚えている。
そして時が過ぎ、大人になってからも長崎はずっと心に残り続けた。また行かないといけない気がして、長崎を再度訪れたときに「ここに住まないといけない」と何故か強く感じ、せっかく就いた仕事を辞め、着の身着のまま一人で移り住んだ――その後の話はまた別の機会に。
80年前の今日、午前11時02分。たった一つの爆弾で、多くの尊い命が奪われた。
二度と同じことが起こらないよう平和を願いながら、犠牲になった方々を思い祈りながら……今日は『この子を残して』を読み返している。
2025-08-09