気づけば、自分の「好き」は家族から受け取ったものがたくさん重なっているなあ…と思う。

例えば駅弁。もともと母は、私ほど「食べること」そのものにはこだわりがあるタイプではなかったけれど、駅でお弁当売り場を見つけて「買って帰る?」と聞くと、いつも決まって頷いていた。その記憶がどこかに残っていて、今でも駅に立ち寄ると、ふと晩ごはんやお昼用に駅弁を買いたくなる。様々なお弁当を眺めながら「母ならどれを選ぶかなあ」と考える時間には、少し郷愁に似た感覚があって、毎回ささやかに胸がきゅっとなる。

庭園巡りが好きなのも、花を大事に育てていた祖母の影響が大きい気がする。小さな庭を丁寧にお世話していた姿を見ていたからこそ、今こうして季節の花を求めて庭園を歩き回っているのだと思う。フォークソングや歌謡曲、そして「歌うこと」そのものが好きなのも、家族みんなで自然に歌を口ずさんでいた、あの頃の空気の延長線上にあるのだろう。

そんなふうに振り返ってみると、今の自分の「好き」は、ただの個人的な趣味ではなくて、家族と過ごした時間や、その人たちの好みや習慣と静かにつながっているものばかりだとあらためて感じる。日々の何気ない選択の中に、今もそっと家族の気配が混じっているのかもしれない。